待ってました!「超入門!落語THE MOVIE」に柳家喬太郎師匠が登場!【落語コラム】

Category: 落語 2017年12月6日 movkyon00

2016年秋から始まったNHK総合「超入門!落語THE MOVIE」。

コンセプトとしては

落語をあえて映像化。
噺家の語りに合わせて再現役者の口が動く、いわゆる「リップシンク」に徹底的にこだわり、あたかも落語の登場人物たちが実際に話しているかのような臨場感を演出、見ている人をリアルな落語の世界へと導きます。
新しいエンターテインメント、「見る落語」の世界をお楽しみください。

ということで、「どうやって作ってるの?! 手、込みすぎじゃない?!」ってくらいピッタリ合わせてきている口パク演技と、落語家/俳優の秀逸すぎるキャスティングから目が離せませんでした。

(目が離せなかった様子はこちらから→「落語THE MOVIE」親和性高いキャスティングで毎週目が離せない!【落語コラム】

まるで落語の登場人物たちが実際に話しているかのような世界を、毎週それはもちろん楽しく視聴していたのですが。

番組開始当初から、落語ファン、中でも柳家喬太郎(やなぎや・きょうたろう)師匠ファンとしては「あ〜キョンキョン出ないかな〜」と思い続けてきた一年でした…

今年出たよ! しかも3回も出たよ、キョンキョン! ありがとうNHK!!!

1回目は喬太郎師匠が「死神」を演じ、口パク演技をしたのはTOKIOの城島リーダー。
2回目は「井戸の茶碗」を、千鳥の大悟と溝端淳平くん。
そして3回目は「そば清」を、浜野謙太と東京03が。

2回目、3回目はどちらも11月に放送だったので、この秋の私は元気でした。
キョンキョンの放映を目指して日々、生活していました。

古典だけど今っぽい。喬太郎師匠の十八番「井戸の茶碗」

私が生まれて初めて聞いた落語が喬太郎師匠の「ハワイの雪」。
これで「おっ落語面白いかも」と思って、次に「井戸の茶碗」を聴きました。

ストーリーはこんな感じ。

正直者と評判のくず屋の清兵衛は、貧しい浪人の千代田卜斎(ぼくさい)から100文で預かった仏像を、細川家に仕える武士・高木作左衛門に200文で売る。

ところが仏像の中から50両もの小判が出てきた。

「仏像は買ったが中の金を買った覚えはない」と高木は金を返そうとするが、卜斎は受け取らない。

間に立った清兵衛は右往左往することに…

(NHK総合「超入門!落語THE MOVIE」公式サイトより抜粋)

喬太郎師匠はイジりとギャグの天才。

だから「正直者の清兵衛さん」だって実は、「自分の欲望に正直な清兵衛さん」って設定にして、「良いじゃないですか50両。もらっちゃいましょう? ネ?」なんてセリフも飛び出します。もう爆笑。
清兵衛さんだって、商売人だものね。

古典落語として伝わってきた「井戸の茶碗」にはもちろん無いセリフだから、なんだか今っぽい。そこが好きです。

喬太郎師匠の古典落語は、古典と言いつつ、現代の感覚値が入っているような気がします。

時にはTHE古典落語として演じきる「牡丹灯籠」や「真景累ヶ淵」なんかもかけられているけれども。

喬太郎の師匠・柳家さん喬師匠はしっとり、じっくり古典落語を聞かせる名人ですから、「井戸の茶碗」においても喬太郎師匠のようなイジりは一切なし。
聴き比べるのも楽しいと思います。

あ、あとこの「井戸の茶碗」を喬太郎師匠らしく改変した「歌う井戸の茶碗」という落語があるので、おすすめ。「落語って難しいんでしょ?」なんて先入観がブワッと吹っ飛びます。

正直者には見えない千鳥の大吾と、凛々しい若侍の溝端くんというキャスティングが最高

さて、その「井戸の茶碗」を口パクで演じたのが、千鳥の大悟、寺田農、溝端淳平、工藤綾乃さん。

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さん喬師匠の「井戸の茶碗」だったら「え〜千鳥? もっと清純そうな人を…」って思うところだけど、喬太郎師匠の「井戸の茶碗」に大吾がベストマッチ!

なんだか憎めないいい人、だけど自分の欲には正直な性格がにじみ出ていて(笑)、このキャスティングよく思いついたなーって思いました。

お金を懐にしまおうと示唆する悪い顔を、喬太郎師匠と大吾がやってるところなんて「あれ、これ古典落語?」ってなっちゃうほどの俗っぽさ。良い。

そして溝端淳平くんの、なんとも凛々しい若侍。相変わらずこのお人はちょんまげが似合う。

大金を手にした若侍が「清兵衛! 来い! 300両! 困惑!」とまったく武士らしく無く、刻むテンポ。
喬太郎節全開のセリフをまた、完全にリップシンクして演じる溝端くん。

奇跡のかけ合わせに視聴者は笑いながら拝んでおりました。良い物を見られる時代に生まれて良かった〜。

想像を補助してくれる映像で、グンと広がる落語の入り口

そして「オチをどう映像化するの?!」とワクワクハラハラした、「そば清」。

そばの大食いで賭けをしてはもうけている清兵衛。

いつも賭け金を取られる面々はなんとか仕返ししようと、とうてい食べきれない量のそばを用意する。

さすがに困った清兵衛。ある日、大蛇が消化のために食べている葉っぱを見つけて…

「最後は清兵衛さんがおそばになっちゃった!」という、なんとも間の抜けた、だけどそれをシレッと演じるからこそのホラー要素があるオチなんです。

そこはさすがのNHK。着物を着た大量のそばを実写化してました。更に大蛇もゴリゴリのCGで映像化。

笑っちゃったけど、今まで頭のなかで想像していた噺が映像化されると、妙な納得感がありました。

あと「落語初めて見たけど、この単語、この様子、まったく想像がつかない…」って方にも、映像化って良い手段だったんじゃないかなあ。

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清兵衛さん役には浜野謙太ことハマケン。賭けをしかける面々は、東京03。

喬太郎師匠の声に合わせて演技しているはずが、だんだん「これ地声?」って思うほどにマッチしてきてシンクロ率がすごかったです。

あと、そばネタでは恒例の、喬太郎師匠のそば食い芸ね。高速そば食いの様子はもう、見るっきゃ無い。笑うしかできない。

今回は喬太郎師匠に絞って書きましたが、毎週この濃密さで色々な落語家さんが登場するのが、本当に贅沢。

数回出演されている三遊亭兼好(さんゆうてい・けんこう)師匠が、

「お客さんに好きなように想像してもらうのが落語の強みであり魅力です。

この番組はそれを消してしまう。落語家としては邪道だと思う。
でも、誰もが知っている役者さんが演じていて、非常にうまくできている。

落語は難しい、と敬遠していた人を惹きつけるにはとてもいい。

番組をきっかけに来たお客さんが、落語本来の魅力に気づいてもらえれば」

産経ニュースより)
とおっしゃっていました。

落語の入り口、たくさん生まれてきて、落語ファンとしても日々楽しい落語ライフです。

フリーランスクリエイター。デザイン、イラスト、写真などやってます。 トダビューハイツ大家。 落語は柳家喬太郎師匠、時代劇は『江戸を斬る』『鬼平犯科帳』『清水次郎長』『一心太助』あたりが好き。
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