あ〜長屋に住みてェなァ〜って思う杉良太郎の『一心太助』【時代劇コラム】

Category: 時代劇 2016年12月23日 sugi

「時代劇ってチャンバラして、この印籠が目に入らぬかって言って、皆が土下座して終わるんでしょ?」
「話のスピードが遅いんでしょ?」
…とお思いの方! 違うんですよ! 時代劇って超エンターテイメントだよ!!

毎日、おばあちゃんと一緒に時代劇を見てる20代(女)の私が、時代劇へのパッションを綴ります。

この連載の一本目、何について書こうか悩んだのですが…私が今一番ハマってる時代劇をセレクト!
2017年3月にBS-TBSにて再放送された杉良太郎主演の『一心太助(いっしんたすけ)』です。

毎話ストーリーが凝ってて、話が二転三転する。落語のようにテンポが良い台詞回しもイイ!
そして私のおばあちゃん曰く「“流し目の杉さま”として流行る前の杉良太郎」がまたカッコイイ。


はい。こんな感じで、ハマりました。

時代劇によくある「パターン化」は一切なし! 毎話、展開の読めないストーリー

先述しましたが、時代劇ってオチが一緒なイメージ強いと思うんです。同じ主人公で一話完結、シリーズ物としてながーく放送する用に作るなら、どうしても話の筋がパターン化するんですよね。ヒーロー戦隊ものもそうじゃないかしら。

「ええ~い、控えィ控えおろう!この紋所が目に入らぬか!先の副将軍水戸光圀様なるぞ」
「は、ははーっ」とか。

「この桜吹雪が目に入らぬか!」とか。

『水戸黄門』や『遠山の金さん』(作品名出しちゃった)私も大大大好きだけど、時代劇はそればっかりじゃないんです! 月9みたいに先の読めないドラマもあるんです!

はい。そこでおすすめなのが『一心太助』
同じ主人公で一話完結なのに、毎話オチが様々なんです。パターン化しないんです。
コレは主人公の肩書が多様だからじゃないかと思うんですよね〜。(もちろん、ながーく放送するシリーズ物じゃなくて、1クールで終わったからってこともあるけど!)

杉良太郎が演じるのは、魚屋の太助。

魚屋と一口に言っても、太助は「大久保彦左衛門の一の子分」「大久保彦左衛門の下女の夫」「八丁堀の同心の義理の弟」「河岸の旦那に信頼される魚屋」「兄貴!と慕われる河岸の年長者」…
ってたくさんの、幅広い肩書きを持ってるんです。

色んな面を持った主人公だと、話のネタがたくさんあるからストーリーが作りやすい!
それに魚屋だから、捕物の勧善懲悪ドラマみたいに、「事件だ!犯人だ!ちゃんばらだ!お裁きだ!円満解決です!」ってオチを付けなくてもいい!

時には大店の駆け落ちカップルが太助の家で居候生活始めたり、大泥棒のおじいさんに強制的に弟子入りさせられたり。
かと思えば殺人事件に巻き込まれたり、仇討ち目的の親子の命を助けたり。

曲がった事する悪いやつは、天秤棒でチャンバラしてぶちのめす。
また別の日は、勧善懲悪ものと違って犯人や悪い人がいない、江戸の面白おかしい日を流す。

故に『一心太助』は毎日見ても飽きないんじゃあないのかしら。

憧れる長屋暮らし

『一心太助』の江戸ライフは、役者が変顔したりアップテンポの掛け合いをしたり、(主に伊東四朗が)笑いを誘うようにすっ転んだり、クスッと笑えるんです。バラエティみたい。かと思えば親子や夫婦、仲間の情を貫いて泣かせたり。

加えて私が好きなのが、太助の長屋暮らしの様子。

その長屋が、時代劇にありがちなキレイな長屋じゃないんですよ。いい感じに汚いんだけど、不潔じゃない。

真っ直ぐ整頓された長屋!じゃなくて路地っぽくちょっと曲がりくねった造り、全体的に土っぽくて、茅葺の屋根はガタガタで、向かい合う家々の中央には細い水路が走ってて、水路の上には置かれただけの踏み板。奥さんたちが下ネタ交えて井戸端会議する井戸。

夫婦喧嘩すれば薄い壁だから、隣はもちろん周辺のお宅に丸聞こえ。合いの手入れられたり、加勢に加わってきたり。
近所の子供は代わりにおばあさんが面倒見るし、誰かにアクシデントが起こったら長屋の皆が駆けつける。

ドラマだからってのはわかるんだけど、エンターテイメントとしての江戸時代がそこにあるんですよね。ロマンだ〜。

そんな長屋情緒はOPでも見られます。


私、このOP鼻歌しちゃうんだよなァ。「♪悪い〜魚は目を見りゃわかる〜〜」
杉さま、ナイス巻き舌。

「あの人って、こんなにイケメン/美女で演技ウマかったのね…」若き日の名優たちの演技に惚れる

そんな、杉さま演じる太助と関わる人達がまた豪華。
太助が惚れてる恋女房・お仲(音無美紀子)。お仲は昔、天下のご意見番・大久保彦左衛門(志村喬)の元で働いていたから、2人して何かあると大久保のお屋敷に行く。大久保のお屋敷に仕えるちょっとマヌケな侍が笹尾喜内(伊東四朗)。

お仲のお兄さん・坂部正七は同心(現代で言う警察かな)。演ずる財津一郎が、今より随分と、こう、スッキリされていて、素敵!

太助の雇用主・河岸(かし)の親方は明石屋銀平(中村竹弥)。落語に出てきそうな、人のいい粋なお人。


これは太助と親方が将棋をしてるシーン。いいですね〜テクニックですね〜。
この時のお話は、親方と太助の身分を1日交換することになったら、事件に巻き込まれて…って内容。タイトルは「あべこべ物語」。西部劇の音楽がかかったりと、遊び心満載でした。
『一心太助』は劇中にベートーベンの『運命』が流れたり、結構コント的な遊びが多いんです。

さてさて話を戻して。

太助たちがよく行く飲み屋の女将さんはおきん(丹下キヨ子)。
第一話に登場した徳川家光なんて、失礼ですが、面影ないくらいカッコイイ中尾彬。そして松平伊豆守は美しい東千代之介。

他にも「イケメンだな〜」と思ったら下條アトムだったり、「絶世の美女!」と思ったら五十嵐淳子だったり、「舌っ足らずで生意気な感じの演技めっちゃ上手い子役だな」と思ったら幼き日の林家正蔵だったり。

もう、名優を書き上げるだけの記事になってきてる感じになっちゃいました。それほど豪華で、画面がキラキラしてて、江戸時代にスッとトリップしちゃうような名演技を披露してくだすってるんです。

ってことで。
あまり時代劇ファンの間でも語られないドラマのようなのですが。お夕飯食べながら見るのにちょうどいい、気楽な時代劇です。再放送やDVDでぜひお楽しみください。

あ、あとタイトルも毎回面白いです。「銭ゲバ親子奮闘記」とか「駆け落ち者ですこんばんは!」とか。勢いアリすぎです。あ〜好きだなァ〜。

フリーランスクリエイター。デザイン、イラスト、写真などやってます。 トダビューハイツ大家。 落語は柳家喬太郎師匠、時代劇は『江戸を斬る』『鬼平犯科帳』『清水次郎長』『一心太助』あたりが好き。