育て親気分を味わえる「二つ目」の落語家たち。注目株は柳亭小痴楽(りゅうてい こちらく)!【落語コラム】

Category: 落語 2017年5月31日 kochiraku01

落語好きデザイナーが、「落語のここが良いのよ面白いのよ〜」というやり場のない気持ちを、独自の視点でお届けします。

最近の落語界は「二つ目ブームだ」なんてよく聞きます。

二つ目とは階級名のこと。
落語家は、見習い→前座→二つ目→真打ちという階級制度があります。真打になると一人前として認められます。

前座時代は目上の師匠たちのお世話がメインのお仕事。かばん持ちをしたり、着物をたたんだり、お茶を出したり…
その合間にお稽古をつけてもらい、寄席などの落語会に出演し、と忙しい日々。

制約も多く、前座が演じてはいけない演目もありますし、単独でテレビなどのメディアに出ることはNGだそうです。

そんな修行の前座時代を約4年、乗り越えるとなれるのが「二つ目」。
師匠たちのお世話から脱出! 単独のメディア出演もOK。

ある落語家さんが「二つ目時代が一番楽しい」なんて言っていました。
「前座時代が終わった開放感と、真打ちになる! という目標を持つ日々。真打になったらゴールがない。」っていうようなことを言っていたような。

育て親気分を味わえる二つ目

真打ち手前、前座以上の二つ目は「こないだ見たときは印象に残らなかったのに、今日はめっちゃ面白い!」なんて成長を見れるんです。

こう言っては失礼かもですが…「育て親」気分を味わえるというか。まだダンスも歌も下手な状態をあえてお客さんに見せていた初期のAKBみたいな感じです。
応援したくなるし、日々の成長っぷりに感動する。

「あ、いま笑いを取るのに焦ってるな」とか「今日は調子がいいな」とかなんとなく分かっちゃう。
(けど、ツウぶるのは嫌だから、分からないふりをしていたい私です。)

落語ビギナーさんは人気の真打ち落語家を見た方が絶対に面白いから良いと思うんですが、「落語に慣れてきたら二つ目を追っかける楽しみもありますよ!」と言いたいです。

そんな「二つ目」たちがいま、アツい。
前回の記事で書いた春風亭一之輔師匠は二つ目時代からひとりグンと飛び抜けていましたが、正直いまの有名な二つ目さんたちはみんなアツい。

誰が飛び抜けていくんだろうって、見ていてワクワクする。

…って書きながら、落語ファン歴短い私が偉そうにこんなこと言ってほんとスミマセンって思ってます。でも本当なんだもん!

例えばイェール大卒、三井物産に勤めていた立川志の春(たてかわ しのはる)さん。英語落語で有名です。
安定感があってどの噺も没入させてくれる春風亭正太郎(しゅんぷうてい しょうたろう)さん。ちなみに絵もうまい。あとカピバラに似てる。
実力派の柳家花ん謝(やなぎや かんしゃ)さん。個人的に、歌舞伎役者っぽいお顔だなって思ってます。

もう少し入門年次が低いあたりでいうと、ポンキッキーズの新MCとしても活躍中の春風亭昇々(しょうしょう)さん。
そして今回ご紹介したい、柳亭小痴楽(りゅうてい こちらく)さん

小痴楽さんは人気の幅が広がっていくこと間違いなしな気がするんだよなァ〜!

16歳で入門した落語家の子供。威勢のいい落語で小痴楽ワールドに入れる

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小痴楽さんのお父さんも、落語家。柳亭痴楽(ちらく)と言います。

痴楽師匠の子供ってこともあって、大御所落語家・桂歌丸師匠(笑点の元・司会の人)から「ちー坊」なんて呼ばれてます。

しかし痴楽師匠は小痴楽さんが入門した16歳の時に病気で亡くなられてしまったので…お父さんから落語を教わっていないのだそう。
だけど、ファンから言わせると「芸が父親と似ている」らしい。

とにかく威勢がよくて、聞いていると小痴楽さんの落語に飲み込まれていく感じがするんです。

尖った口で、ちょっとシャガれた声でまくしたてるように話したり、巻き舌使ったり。まさに「江戸っ子」のイメージ。
『真田小僧』みたいな、江戸っ子のテンポの良い掛け合いが面白い。
じっくり聞かせる部分はゆったりと、間合いも使うので、威勢が良いってだけじゃない。

以前テレビ番組で

「父親である柳亭痴楽(ちらく)の息子として見られたくない」
「行き詰った時には父親のことを思い出してしまう。こんな時どうしたらいいの? と聞きたい」

と悩みながらも、本番前に父親の形見の手ぬぐいを握りしめる姿を見ました。

見た目がイケイケなもんだから私、勝手に小痴楽さんをチャラい認定してたんですけど(失礼)、この姿をみて見る目が変わりました。

小痴楽さんは二つ目のユニット『成金(なりきん)』を結成していて、定期的に落語会を開催しています。
有志によるサイト『日めくり成金』を見ると成金の落語会開催予定が分かりやすいです。こんなキレイなサイトまで作ってもらえてるなんて、愛されてるな〜。

ユニットを結成してる姿からも分かるように積極的だし、最近はテレビなどでもお見かけします。
「イケメン落語家」としても引っ張りだこです。たしかにサブカルイケメンっぽい。

↑のイラスト描きながら、漫画のキャラ描いてる気分になりましたもん。絵になるねェ。

活躍の幅がぐんぐん広がっていきそうなので今から追っかけたら絶対に楽しい落語家さんのひとりです!

それにしても、いまの二つ目さんたちは精力的にSNSを使ったり、同世代で集まって落語会を開いたり、チャレンジング。Twitterで落語家の生活が垣間見える時代だもんなァ〜いい時代だ〜。

フリーランスクリエイター。デザイン、イラスト、写真などやってます。 トダビューハイツ大家。 落語は柳家喬太郎師匠、時代劇は『江戸を斬る』『鬼平犯科帳』『清水次郎長』『一心太助』あたりが好き。